水が水を弾く!話題の超疎水性ナノ素材とは?

「ナノテクノロジー」は、もはや一般に浸透している言葉ではないでしょうか。
ナノテクとは、原子や分子サイズ(nano)で新素材を開発する研究の事を主に指し、自然界には存在しない”新しい何か”を常に生み出しています。jump

そんなナノ素材ですが、化粧品やスポーツ用品など、意外と身近なところに応用されています。
現在熱戦が繰り広げられている冬季オリンピックですが、スキー板にもナノテクは健在。
未知の素材同士を配合することで、スキー板の軽さや強度を最大限に引き出し、摩擦低減効果も取り入れられています。

このように新素材がどんどんと生活の中に浸透していくなか、最近になりオークリッジ国立研究所が開発した「超疏水性」が世界的に注目を浴びているとのこと。
超疏水素材とは、現段階では自然界のどの物質よりも水を弾くコーティングを施した素材のことであり、何と「水」にまで超疏水性を施すことができるのです。

nanowaterそのため水に超疏水性を施すと、水はどんな物にも吸収されません。
また、吸収されないだけでなく水同士がくっつかないので、まるでボールのようにお互いを弾き返のです。
実際、超疏水性水をビリヤードの玉に見立てた水ビリヤードというおもしろ実験も行われており、この映像が話題を呼びました。
実用化はまだ少し先のようですが、今までの撥水技術よりも安価に提供できるとあって、非常に現実的な最新ナノテク技術なのです。

身近なところでは、やはり傘やレインコートへの応用が期待されています。
大雨の時など、雨に濡れた傘はびしょびしょになるため、店舗や自宅へ入る際など、この濡れた傘の処理に皆さん困っていたのではないでしょうか。
しかし超疏水性素材ならば、水は玉のようにスルスルと弾かれていくため、室内に雨水を持ちこまず傘を持ちこめるのです。

その他、撥水加工の代用品としても期待されているとのこと。rain
例えば、お子さんやペットのいるご家庭で活躍している撥水加工カーペット。
撥水効果と謳いながらも、撥水効果は100%ではありませんでした。
しかし、超疏水素材を使用したカーペットが実用化されたなら、お子さんがジュースをこぼしても、ペットが粗相をしても、もう安心なのです。

その他、現在実用化に向けて本格的に動き出しているのは、家電製品や野外の電気系統・電気設備品などの分野。
水だけでなくPM2.5をはじめとした埃や粉じんも弾くとあって、野外設備に超疏水性素材を使用すると、耐久性が高くなり、交換頻度も少なく済むのです。

このように、非常に広い範囲で期待されている超疏水性ですが、やはり私たちが気になるのは傘の進化ではないでしょうか。
傘は平安時代の和傘から形や性能がほぼ進化しておらず、これ以上進化しない物の一つだと言われてきました。
しかし、もしかすると超疏水性素材によって、傘をささずに雨の中を歩ける時代も来るかもしれません。
これから登場するであろう「超疏水素材」に、注目してみると面白いのではないでしょうか。