神無月に由来する「日本酒」と「水」の話

10月の陰歴である「神無月」。
その由来である、全国の神様が出雲へと会議に出かけてしまうという説については、みなさんご存じでしょう。izumo
出雲に集まった神様たちは、翌年の農作物や酒の出来栄えについて話し合っているとのことですが、「お神酒」と言われるように、神様にお酒はつきもの。
実際、「酒」の元の字は「酉」であり、酒壺を表した象形文字とのこと。
酉は十二支では10月を指すことや、かつては10月1日から酒の仕込みが始まったことから、10月1日は「日本酒の日」にも制定されているのです。

日本酒の基本的な原料は「お米」と「米麹」。
そして「まるで水のような飲み口」という表現が褒め言葉となるように、日本酒に質の良い水は欠かせません。
しかも完成した日本酒の約80%が水ということですから、酒の味を決めるのは水だと言われていることが分かるかと思います。

また、仕込み水だけでなく、米を蒸す際や道具の洗浄にも水は欠かせないため、名水の傍にはおのずと酒蔵が。
ワインやウイスキーのように水が不必要な醸造方法ではなく、水資源が豊富な日本だからこそ生まれた酒が日本酒だと言えるのではないでしょうか。

ちなみに、現在のような酒蔵が各地に出来たのは鎌倉時代だと言われていますが、それ以前にも日本酒の起源となる「練酒」造りは出雲で行われていたそうです。
やはり神様が集結する出雲は、酒と深い繋がりがあるのかもしれませんね。
sake
そんな日本酒ですが、最近はワインやカクテルに圧倒されて、国内での人気は下火気味。
しかし海外では「SAKE」として認知度が高まっており、最近では国を挙げて欧米への売り込みを強化するなど、様々な措置がとられています。
海外ではオシャレな新しい飲み物としてじわじわと人気が上がってきているSAKEですが、日本では「アルコール度数が高い」・「酒臭い」などの理由、で女性や若い方に敬遠されがちです。
しかし、水のような口当たりの日本酒をさらに水割りで飲むと、非常に飲みやすいことをご存じでしょうか。

日本酒の水割りの作り方はいたって簡単。
日本酒:水を8:2でまぜ、ぬる燗にします。寒い日やもっとアルコールを飛ばしたいということであれば、熱燗にしても良いかもしれません。
味がぼやけてしまうのではと思う方もいるでしょうが、実は舌触りが柔らかになり、かなり飲みやすくなります。
アルコール度数も低くなっているため、軽い寝酒としても重宝するでしょう。

原材料の水に非常に味を左右される日本酒は、軟水仕込みであれば柔らかで優しい飲み口に、硬水仕込みであればワインのフルボディのようにしっかりとしたものになります。
日本の多くは軟水ですが、硬水の有名どころで言えば兵庫県の灘。sakebrewery
こちらは日本で一番高度の高い硬水を使用しているため、しっかりとした酒が有名です。
通であれば同じ灘の湧水で割った水割りを楽しんでも良いでしょうが、難しければコントレックスやエビアンのような海外の硬水で割っても面白い味わいになるでしょう。
また、ハワイウォーターのようなピュアウォーターで割ると、アルコール度数低めで酒本来の味を楽しむことができます。

寒い時期には熱燗ならぬ水割り燗を。
ちょっぴり新しいSAKEスタイルを、寒くなり始めた「酒の月10月」から楽しんでみてはいかがでしょうか。