2013年~2014年 インフルエンザの流行傾向と対策

influ2感染症センターでは毎年8月末から9月頭をインフルエンザの流行開始時期としています。
インフルエンザと聞くと、乾燥した冬の時期に流行するイメージがありますが、実は夏の終わりが流行のスタート。
2013年~2014年度は9月2日から患者数の推移観測が始められており、既にこの時点でも患者が観測されているというから驚きではないでしょうか。

そして10月下旬~11月上旬には、中学校と保育所各1箇所でも集団感染による学級閉鎖が。
今年検出されたウイルスの型はAH3亜型(A香港型)・AH1pdm09亜型(A型)・B型であるため、おそらく本年度の流行型はこの三種類でしょう。

そもそもインフルエンザが毎年型を変えて流行する理由には、インフルエンザウイルスが生き残るための生物進化が挙げられます。
普通一度ウイルスに感染すると、私たちの体内には抗体ができるため、二度とそのウイルスには感染しません。
そのためあまり聞き馴染みの無い「C型インフルエンザ」ですが、実はC型は多くの方が4歳までに感染して抗体ができているため、大人になってかかることはないのです。

しかしA・B型、特にA型は遺伝子配列を頻繁に変えます。
しかも感染力が強く毒性も高いA型は、数十年単位で流行株が突然変異することも。
humidifierこれが「新型インフルエンザ」と呼ばれるものであり、誰も抗体を持っていない新型インフルエンザは、瞬く間に世界中で大流行となるのです。

そんな恐ろしいインフルエンザですが、実は風邪のウイルスよりも弱く、複数の条件が揃わなければ生存できません。
特に湿度が高い程ウイルスが死滅することが判っており、気温20度以上、湿度20%では生存率が約70%だったものの、湿度を50%にまで上げると生存率が3%にまで下がるという実験結果もあります。
そのため、まずは室内の湿度を上げることが何よりも重要なのです。

また、夏の終わりから観測されるインフルエンザが、寒い時期にのみ流行する大きな理由もあります。
それが、「寒さによって密閉された室内」と、「寒さによる鼻の器官の鈍り」なのです。

寒いので窓を閉め切った空間では、外から持ち帰ったウイルスが爆発的に繁殖。
そのような室内で増殖したウイルスは繊毛器官が鈍ったヒトの体内にいとも簡単に侵入します。
そしてウイルスが気道粘膜に付くと、16時間で1万個、24時間でなんと100万個にも増殖し、粘膜細胞を破壊し始めるのです。そのため、

1:冬場は外出先ではマスクをhand wash
2:手は顔を触る前に殺菌性の高い石鹸で洗浄
3:窓はこまめに換気しつつ湿度を保つ

以上三点が、家庭と体内に菌を持ちこまない一番の方法なのです。
また、廃棄するマスクに付着したウイルスを殺菌してから捨てると、より効果的かもしれません。
最近では液体型の次亜塩素酸スプレーなども薬局で販売されており、そのウイルス除去効果は証明済みです。

液体型としては「クレベリン」「スタクロン」「コモスイ」などが人気商品ですが、皮膚の弱い方や赤ちゃんがいるご家庭の場合は、注意して使用しましょう。
もし赤ちゃんやペットが心配ということであれば、塩素系以外にもアルコール系の「モスコール」や「パストリーゼ77」、微生物系の「バイオフレッシュ」「バイオイオナース」もウイルス除去効果があるとのことです。

その他にもウイルス粉砕機能を搭載した空気清浄機や、固形型塩素を利用した空気清浄機なども販売されています。
部屋の広さや家族構成に合わせてインフルエンザ対策グッズを用意し、師走を乗り切りましょう。